ハイランド走破 前編
ハイランドを無事走破しました。凄い所でした。しんどい記憶も思い出補正されてしまう前に振り返ります。
午前中は雨が止むのを待ち、ダート開始地点まで舗装路を登る。
いよいよ本格的にSprengisandurに入る。この時はまだ元気。
ダートが始まる。ダート走行に慣れてないので手こずりつつ進む。ハイカーの女性とすれ違う。100Lくらいのザックを背負っていた。
途中Porisvatn湖で水補給。
南下してきたスイス人サイクリスト。Sprengisandurを走るサイクリストは4サイドが標準のようだ。渡渉する川の深さなど情報交換をする。4日で走破していると聞き驚いた。速い…。いや、意外とちょろいのかも。4日で抜けれるなら大した事ないな、とかこの時は思っていた。
ガレてる登りは押し歩きつつ、3時間、20kmほどダートを走りこの日は終了。
浄水する。アイスランドは基本水は綺麗だけど、湖の水は泥が多く混じっている。
21時頃。明るくなり外へ出ると…
綺麗な夕陽。この日はご機嫌で就寝する。
翌朝。強い風の音で目が覚める。北から吹いている。完全に向かい風だ。
遮るものが何もない。
経験した事のない強さの風だった。向かい風ならまだしも、横風になると自転車ごと倒れそうになる。風に顔を向けると呼吸がしにくいので俯くしかない。電波をキャッチし確認すると、今日明日は北からの風速17mやそれ以上の風が吹き続けるとのこと。
登り基調、岩、コルゲーション、深砂、風のコンボにより写真を撮る余裕はなかった。身体を丸めながらひたすら北へ進む。
7時間近く押し歩き(引っ張るという表現の方が正しいかも)、なんとか20km先のVersalirシェルターに到着する。本来の予定では午前中に通過する予定だったが、身体が限界だった。
使われていない馬小屋で風を凌ぐ事ができた。馬小屋掃除用のホースから水も出る。トイレは無いけど、ほぼホテルだ。
この夜が精神的に一番きつかった。1日の予定の1/2も進む事ができなかった。ある程度は想定していたが、いざその状況になると本気で引き返そうか迷う自分がいた。冷静に残りの食料を確認すると、12日分残っていた。川もあるし、水の心配はない。絶対に突破できると確信し、北へ進み続ける事を決心する。
翌日。今日も一日中強い風が吹く。かなり憂鬱な朝だったが、進むしかない。ヴァトナヨークトルが見える。(帰国後調べたところホーフス氷河と勘違いしてたみたいです)
相変わらず道の状態はよろしくない。写真だとあまり伝わらないのが残念。
1個目の渡渉。ちょっとワクワクしつつ何回か往復し渡る。
氷河から流れてきている水はかなり冷たかった。
多分Askjaかな?天気は良いのでクッキリ。
夕方、スウェーデン人2人組とドイツ人2人組のサイクリストとすれ違う。絶賛押し歩きだったので記念に写真を撮る余裕はなかった。
明日はきっと大丈夫だよ!😃と言われたけど…。良いよなぁ、追い風で羨ましいよ。
これからSprengisandurを走る人は、プランする際に南→北か北→南で悩むと思います。これに関してはインターネット上でも意見が分かれていますが、最終的には運次第です。今回はたまたま南→北がハードでしたが、その逆の場合もあるようです。自分は「風向き的に南→北がベストだよ!」っていう書き込みを信じましたが、見事に裏切られてしまいました…。
写真じゃ伝わり辛いけど、強風の中7時間押し歩いてもなお、こんな坂が続く。
19時前、27km進み、何とかテントを張れそうな川に辿り着く。水場が確保されているだけで安心する。
アイスランドは日が長いので、その分行動時間も長く取ることが出来てありがたい。
中間地点のNyidalur小屋まではあと29km。手からは馬の臭いが漂っていた。
後編に続きます