ハイランド走破 後編

ハイランド、後半です。

 

弱い向かい風だけど、昨日までの風に比べたら無風といっていい。

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広漠って言葉が似合う。少しずつダートの走行にも慣れてきた。黙々と進む。
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Nyidalurが見えた…!心底ホッとする。
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Nyidalur小屋では食料の補給こそ出来ないが、トイレがあり、水場があり、シャワーがある!!

馬🐴と同じ臭いと化した身体を洗うべく、念願のシャワーを浴びるが、出てきたのは水でした…。悲しい。ブルブルと震えながら水を浴びる。オーナーはとても親切かつフレンドリーな方で、水シャワーだったと知るなりインスタントスープを飲ませてくれた。機械が壊れていたようだ。
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夕暮れ。ホッとしたのも束の間、夕食作りに取り掛かると、ガソリンストーブの火が点かない…。

マジ…??今ですか??………それ、今必要なトラブルですか??

ガソリンストーブを使うのは今回が初めてだ。当然、トラブルも初めて。説明書を見ながら、分解してクリーニングする。必死だった。

ガソリンストーブの故障はすなわち、パスタやラーメンを茹でる事が出来ないということだ。よく考えると、夕食をパスタに頼り切ったのも甘かったと気づく。火を使わない食料はバナナとチョコバーくらいだ。パンなど、火を必要としない主食を十分に持っておくべきだった。

1時間くらい悪戦苦闘して、どうにか作動するようになった。不器用なので道具や機械を分解したり整備するのは得意じゃないけど、人間追い込まれれば出来るんだな、と思う。

煤まみれでパスタを作り、就寝。
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翌朝。Nyidalurを出てすぐの大きな川。朝なので水量はかなり少ない。余裕で渡れそう。

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と思ったら割と深かった。浅い箇所を探すべく、かなり迂回する。
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アークレイリに用事ができたので、F26のみを走破する予定を変更し、Laugafell小屋へと向かう。
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こんな景色が見たくてここまできた。心に描いた事は実現する。これで標高800〜900mなのでかなりお得だよね。
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車の轍を頼りにひたすら進む。天候は安定している。
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渡渉地点。親切なドイツ人家族が車に乗せて運んでくれた。

難しい環境だからこそ、ハイランドでは皆がお互いを気にかけていたように思う。
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遠くにLaugafellが見えた。今日は50kmも進む事ができた。風が無いだけで1日の行程にこんなにも差が出るのか…。数日前に会ったスイス人サイクリストが風を味方に付け、4日で走破したのも納得だ。

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夕焼け。Laugafellは天然のプール(温泉)があることで少し有名な観光地らしい。少し興味があったが、他のお客さんが多すぎて入るタイミングを失い、就寝。ハイランドを突破できる事がほぼ確定し、安心していた。

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翌日。20kmほどアップダウンを繰り返し、いよいよ渓谷を抜ける30kmの長いダウンに入る。

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昨日までとは土や岩の色味が変わっている。ハイランドの終わりを実感する。

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岩だらけで道がとにかく悪いことはLaugafell小屋のオーナーから忠告されていたが、想像以上だった。ダウンヒルというより下山。勾配も急すぎるし、岩だらけ。

YouTubeによくある、RedBullのヘルメット被ったお兄さんがマウンテンバイクで下るようなルートだ…。
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あまりにも危険な箇所は必死すぎて写真がない。
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道なのか川なのかよく分からなくなる。

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氷河が少し残っていた。
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数時間かけて下り終える。めっちゃ疲れた。下りなのに。渡渉も多すぎてサンダルに履き替えるのが面倒になり、靴のまま渡った。
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今振り返ると景色はとにかく綺麗だな。
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F26とF752、F821を繋ぎ、ハイランドを走破した。初めての経験だらけだったが、無事に抜けることができて安心する。今帰国しても後悔はないような気分。
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久しぶりの舗装路。疲れ切っていたので特に感動はない。
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アークレイリの手前12kmのHrafnagilのキャンプ場に着。市民プールの更衣室で久しぶりにお湯のシャワーにありつく。

夕食は残りのパスタソースとソーセージを全て使い、到着を祝う。この日はダート50kmを含む75kmを走った。

 

ハイランド、ざっくりこんな感じでした。今までのサイクリングで一番しんどい1週間でした。体力的にもそうだけど、補給が無く、進まないと絶対に抜け出せないという精神的な緊張感がしんどかったように思います。

ただ、間違いなく走る価値のあるルートでした。天候にかなり左右されますが、リングロードだけじゃ絶対に見れない景色を見ることができます。興味のある方はぜひ。